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実写版『マリア様がみてる』の薦め

2010年11月07日
 聖典(『マリア様がみてる』原作)の無印(第一巻)が映画化され先週の土曜日に封切られました。

「映画館の入り口に、『この門を入る者、一切の希望を捨てよ』って扁額を掲げておいた方がいいんじゃないか」
とか、
「やりきれない感情のはけ口として、握りしめる為のぬいぐるみか、引き裂くためのハンカチが必須よね」
とか、観賞前は言いたい放題を言っていた私たちですが、

すみませんでしたっ!!!!!

 封切り当日、私たち『ラヴ茶(『祥子ラヴ人の茶の間』という祥子さまラヴな人たちが集ったチャット)』の東京残存メンバー八名はうち揃って『(実写版)マリア様がみてる』を観に行きました。(女子中学生、高校生の群れ(『君に届け』の前売り購入が目的)を掻き分けて八人分のチケットを確保してくれた一真さまありがとう!)
 過去にアニメや小説を原作とした実写の悲惨な結果をいやというほど観ている私たちは、映画化が発表されてからずっと冗談めかした自虐的な表現の数々で最悪の事態に対する心の準備を怠りませんでした。いやもう、あんなに出来上がりを心配しながら上映開始を待った映画は空前でしょう(出来れば絶後であってほしいものです。精神的に心底疲れます)

しかし、私たちの予想はあっさりと裏切られました。

それも最良の形で。

 完成した映画のレベルの高さは近年の日本映画の中でも特筆に値するものでした。(終わった後にみんなで飲んだお酒の美味しかった事♪)

 まず原作に通底する精神を完全に自家薬籠中のものとした上で、映画に相応しいアレンジを加えた脚本(佐上佳嗣さん&寺内監督)が素晴らしいです。原作中毒を自認……どころかアイデンティティの一部として誇っている私でさえ、大筋においては文句の付けようがありませんでした。
 そして、これ以上は無いロケ地の選定と隅々までも揺るがせにしない演技指導、映画ならではの適切な演出と全ての方向に見事な手腕を発揮なさった寺内康太郎監督。そしてそれを支えたスタッフさんたち。
 最後に(と言っても最小の……という意味ではありません)短期間の間に長足の進歩を遂げ、見事な演技を見せてくれた俳優さんたち。

 予告編を観た時には、拙い演技と台詞の活舌の悪さと平板な調子が気になって「ビジュアルだけで配役したのでは……」と思わずにはいられなかったのですが、映画本編では、それらがほぼ一掃されていて、俳優さんたちがどれほど頑張ったのかその片鱗を感じる事ができました(勿論、完璧ではないですが、僅かに残った台詞の拙さが『初々しさの演技』と受けとめられる程に上達していました)
 特に本編での俳優さんたちの演技は素晴らしかったです。
『マリア様がみてる』は人間としてもっとも多感な少女の時期を中心とした物語ですから、どうしても声に表し難い心情の表現が多くなります。小説でしたら地の文で表現できますが、映画ですとそうはいきません。僅かな視線の移動や手の動き、口もとの変化で表現しなければなりません。
 凡庸な作品でしたら台詞で感情を羅列する所ですが、寺内監督は敢えてその難しい『僅かな演技による内面の感情の表現』を選択し、俳優さん達がその要求に見事に答えていました。

 祐巳ちゃん役の未来穂香さんは登場した瞬間から一年生らしい初々しさ(まさかこんなに愛らしい『タヌキ顔』が実際に存在していようとは)で私たちを魅了し、その後も「祥子さまが惚れるのも無理はない」と観る人を納得させる勢いで素直な可愛らしさを強化していくのですが、それだけに留まらず、映画の端々で、「よくあの年でこの難しい演技を」と思わせる姿を見せてくれ、優れた俳優の資質を示してくれました。
 私は未来穂香さんが見せてくれた「吃驚して目を見開いた祐巳ちゃん」の演技でご飯三杯はいけます♪

 祥子さま役の波瑠さんは、いかにも『素敵だけどちょっと恐い上級生』というイメージで登場したのですが、映画が進むにつれて原作どおりに「祥子さまは可愛いなあ」という印象が重なっていくと同時に「何? この美人」と唖然として見入ってしまう様なカットが増えていきました。
 『溜め息が出る程の美人(=祥子さま役に相応しい程の美人)』と表現せざるを得ない人がキャラクターとして作り上げられていく様を久し振りに見た気がします。

 三薔薇さまは本当に安定した隙のない演技で最初から安心して見ていられました。
 (登場が祐巳ちゃんの騒動が始まってからなので)終始上機嫌で楽しそうにちょっかいをだす、でもそれだけじゃない江利子さまを好演した秋山奈々さん。
 原作のイメージそのままに、格好よくて飄々としているけど実は結構お節介で優しい聖さまを見事に演じて見せた滝沢カレンさん。(ビジュアルがあまりにも聖さまのイメージ通りで吃驚しました)
 そして今回の薔薇さまの中でも最重要な役どころである蓉子さまを演じて下さった平田薫さん。この方がまた素晴らしかったです。
 ご存知の様に聖典の無印では、スール制度は直接には余り詳しく語られません。むしろシンデレラ騒動の中での(スールになる前ですが)祥子さまの祐巳ちゃんに対する振る舞いと蓉子さまの祥子さまに対する接し方からスール制度のあり方を理解する事になるのだと思います。
 ですから、蓉子さまのお姉さまとしての振る舞いはスール制度を理解するポイントになります。
 平田薫さんは寺内監督による原作そのままのシーン、原作を膨らませたシーン、原作にないシーンの数々を見事にこなして素晴らしいお姉さま振りを発揮なさっていました。

 少ない出番の中でも印象的だった、坂田梨香子さんによる令さま。高田里穂さんによる志摩子さん。三宅ひとみさんによる由乃さん(改造手術を受けた後の演技がみたい♪)。
 聖典でもキーパーソンの広瀬アリスさんによる蔦子さんも思わず笑いを誘われる、でも「なるほど」と思わせる設定が付け加わっていて楽しかったです。

 総じてA+を差し上げる事の出来る佳作です。が、敢えて欠点を探しますと……やはり原作を知らないとスール制度や山百合会が理解しにくそうです。
 一応映画らしい工夫を施した説明はあるのですけど、スール制度の機微や三人の薔薇さま(=同等の生徒会長)による山百合会(生徒会)執行部等は一度で理解できるものではないですし、更に薔薇さまの妹と山百合会の関係となると正しい理解は不可能に近いのでは、と思います。

 まあ、『マリア様がみてる』をまったく知らない人がふらっと観る可能性は低いですから、致命的な欠点ではないと思います。

 改めて監督とスタッフ、出演者の皆さまに心からの感謝を捧げます。素敵な作品をありがとうございました。

 そして、今、これを読んで下さっているあなた。もしあなたが『マリア様がみてる』のファンで、実写版の出来に危惧を抱き鑑賞を躊躇なさっていらっしゃるのでしたら、騙されたと思って映画館に足を運ばれる事を心よりお薦めします。

私たちと同様に、

その危惧はきっといい方に裏切られる

はずですから♪
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