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でも、つい見入ってしまって作業効率低下‥。

2008年01月14日
 SS書いている時は無印A’sStrikerSの繰り返しループ、合間にマリみてらき☆すたローゼン、その他色々とDVDを掛けっぱなしにしています。画面に見入っている訳にはいきませんので殆どBGMと化していますが‥(だから、最近はニコ動で初音ミク(汗)を聞いている事も多いです)
 それにつけても欲しくなるのは、DVDディスクチェンジャー。いちいち換えにいくのが面倒で。でもちょっと高いし、その前にテレビとDVDプレーヤーをそろそろ買い換えないと‥。
 その点からいくとBGM代用には映画とかの方がいいのですけど。アニメ四話~六話分ぐらいかけ換え無しですから。

 でも、SSやイラストみたいな二次創作を行う場合の燃料としては、対象となっている作品の方がいいのですよねー。‥当たり前ですが。

 さて、『フェイトとなのはのDay by Day』第三回の三です。

『フェイトとなのはのDay by Day ―デート― ★承★』 に戻る

『フェイトとなのはのDay by Day ―デート― ★転★』

 隊舎内ですれ違う課員は、私の方をちらっと見つめ、慌てて目を逸らす。または、曰く言い難い微笑を浮かべ、親指を立てた拳をぐっと私に向かって突き出し、ウインクする。
 そうした応対を見るたびに、私に生じる脱力と苦笑は、更に疲労を蓄積させる。
 機動六課の隊舎を出ると、誰かと会う可能性が高い表通りを避け、植え込みを縫うように作られた散策用の小道を辿って、隊員の宿舎へと向かった。

 木立越しに、遅い午後の日差しに波頭を煌かせる海が見える。ふと私は足を止め、海の方を透かし見る。
 明るく穏やかな海には陸戦空間シミュレーターが設置された浮島があり、そこで、スバルやティアナ、エリオやキャロ、そしてなのはが教導に汗を流しているはずだ。

 そこに行って、なのはの教導を手伝い、少しでもなのはの負担を減らす事が出来れば‥。
 エリオやキャロの真剣な表情や、ごく稀に見せてくれる年相応に幼い振舞い(『ごく稀に』なのは寂しいけど、でもだからこそ、そうした振る舞いを見せてくれる時の二人は、いっそう可愛いのだ♪)を垣間見ることが出来れば‥。
 スバルやティアナが元気一杯に、でもやや危なっかしく走り抜けようとしている道―私たちもつい数年前に辿った道―の傍で、はらはらしながら見守って、場合によっては必要な助言をしてあげる事が出来れば‥。

 どれだけ気持ちが晴れるだろう。

 でも行く訳にはいかない。今行ったのでは、私はまったく自分の気晴らしの為に教導をしてしまう事になる。それは、フォワードメンバーにも、なのはにも、何よりも自分に対して、失礼だ。
 それでも、訓練に真剣に取り組んでいるフォワードの面々や、直向きに教導に取り組んでいるなのはを想像するだけで、何だか心が落ち着いてくるのが解る。

 私は踵を返して、宿舎に向かう。木立に囲まれた小道や、小道に沿ってあちこちに設置されたベンチには、かなり低くなった日差しが長く差し込み、夕暮れ間近の色のない光と優しい影の縞模様を織りなしている。
 普段ならまだ執務室で忙しく業務を片付けていて、外を眺めている余裕なんてない時間帯だ。だから、明るい真昼とも、壮麗な夕暮れとも違う、特徴のない‥それゆえに穏やかな光と影の交差するこの一時は、私にはとても新鮮に感じられた。

 ゆるやかに蛇行する小道に沿って灌木のよせ植えを回りこむと、そこにあったベンチの一つに腰掛けている人がいた。

 六課で普段から教導隊の制服を着ている人は一人しかいない。

 いや、そんな事で判断しなくても、どんな姿をしていたって、私がその人を見間違うはずが無い。私は思わず走りよって声をかけた。
「なのは!? どうしたの? こんな所で‥」
「あれ、フェイトちゃん! おかえりなさい」
 微かに気遣わしい様子の混じった、でも楽しそうな微笑を浮かべて、ぼんやりと前を向いていたなのはは、こちらを向くと同時に満面に開けっぴろげな笑顔を広げて答えてくれた。

 ‥か、可愛すぎる。
 何で十九歳にもなって、こんな透き通った無邪気な笑顔を浮かべる事が出来るのだろう。
 なのはは決して太平楽な人生を送っている訳じゃないのに‥。
 むしろ人並み外れて過酷な事の多い人生を送っているのに。
 それにしても‥久し振りに目にすると、なのはの笑顔が持つSLB並みの破壊力を再認識させられる。
 この笑顔を相手構わず振りまくから‥もうっ。

 私は昇ってきた血で紅くなった頬が不審に思われないかをちょっと気にしながら、なのはに挨拶を返した。
「た、ただいま、なのは。えっと、まだ教導の時間だよね?」
「今日は模擬戦を中止にしたので、早上がりになったの」
 ちょっと驚いた私は、目を見開いてしまったらしい。
「あー、フェイトちゃん。そんなびっくりした顔してぇ」
 なのはが軽く頬をふくらませて私に抗議する。

 ‥もう、可愛い、可愛いよ、なのは。
 そんな表情を見せられちゃうと、私は心停止しそうだよ。
 ‥ついでに理性も活動停止しそうだよ。

 さらに高鳴ってしまった鼓動を、なのはに気付かれないように、私は何とか軽口を叩いてみる。
「ご、ごめんね。で、でも、なのはがこよなく愛している『手加減なし、全力全開の模擬戦』を中止にするなんて‥今夜は吹雪かも」
「フェイトちゃんってば、ひどいよっ。それじゃあ私が、部下を模擬戦で叩きのめす事を、無上の楽しみにしているみたいに聞こえるじゃない」
「そこまでは‥友達としては(許婚者としても)言いにくいなあ‥」
「つまり本当はそうだって言いたいんだねっ」
 笑いを堪える振りをして呼吸を整え、真面目な話に戻す。
「それはともかく‥」
「こういう時は『そんな事ないよ』って否定してくれるのが友達だと思うけどなー」
 なのはに微笑しつつ、でも、なのはのぼやきを、わざと完璧に無視して話を続ける。
「それはともかく、何かあったの?」
「うん。ティアナがガジェットドローン戦の演習中に足首を少し痛めて‥で、医務室に連れて行ったところなの」

 なのはは、こうした会話における「じゃれ合い」と「真面目」の切り替えが‥それに伴う気持ちの切り替えも含めて、本当に素早い。
 特に、六課が始まってからというもの、新人への教導はなのはの関心の大部分を占めている(少し悔しいけど仕方ない)ので、転換する話題としては効果抜群だ。もっとも、フォワードメンバーの様子なら私も大いに興味がある。

「へえ‥フォワードメンバーの怪我って珍しいね」(軽い打ち身や擦り傷はともかく、シャマル先生の治療が必要な怪我はめったにない。教導中の怪我が無い様、なのはが細心の注意を払っているから)
 なのははベンチの端に寄ると、開いたスペースに座るよう私を促した。
 私が座ると、なのはは私の顔を覗き込むようにしてにっこりと微笑み、視線を前に向けなおして、ゆっくりとした調子で話を続けた。
「うん。スバルとのコンビプレイのタイミングが合わなくて‥。でも、スバルのせいでも、ティアナのせいでもないんだよ。強いて言うなら、私のせいかも‥」
 そう言いながら、なのはは何だか嬉しそうだ。本当になのはのせいでティアナが怪我をしたのなら、責任感の強いなのはがこんなにのんびりしている筈がない。とすると‥。
「二人の技量の向上が速過ぎたって事かな」

 私の台詞を聞いたなのはは再び私の方に向き直ると、ちょっとわが子を自慢する母親のような調子で答える。
「さっすが、フェイトちゃん♪ 察しがいいね。前回のデバイスの調整で設定したそれぞれの魔力操作の想定レベルが、控えめに過ぎたんだと思うよ」
「なのは的には、『ティアナの怪我はとても残念だけど、新人たちが想像以上のスピードで進歩しているのにはとても満足』って感じなんだね」
「うん♪」
「なるほど‥で、心配事の方は?」
 なのはは私の台詞を聞くと、鳩が豆鉄砲を喰ったような顔をしたが、次の瞬間、ふにゃっと笑い崩れてみせた。
「にゃはは。ばれちゃったかー」

 ‥ああ‥どんな表情をしても可愛いっ! なのは、私のなのは!
 頑張れーっ、頑張るんだ、私の理性っ!

 なのはが、ちょっとほっとしたように、溜め息を思わせる呟きを漏らす。
「やっぱり、フェイトちゃんには隠し事って出来ないなあ」

 なのはの何気ない一言が、微かに私の胸を刺す。
 ‥本当にそうなら、どんなにいいだろう。
 なのはが心の内に秘めている全てを知る術を、私が持っていたなら‥。
 なのはの本当の想いを知る事が出来るなら‥。

「まあ、一つはフェイトちゃんに相談にのって貰わなければいけない事なんだけどね」
「な、何? 私、何か役に立てる?」
「二週間ほどでいいから、デバイスの調整の頻度を増やしたいの。今ちょうど四人とも凄い勢いで進歩しているんだよね。魔力の出力も、術式制御も」
「デバイスの方をオーバー目に設定しておいて、みんなの技量が追いつくのを待つって方法もあるけど、小まめに調整した方が進歩も速いし、あの子(デバイス)たちにとってもパートナーの魔力特性の把握が円滑に行なえるしね」
 私は、なのはが何を言いたいか見当がついたので、先手を打ってみた。
「‥で、シャーリーには、暫くの間デバイスのメインテナンスに専念して欲しい‥と」
「あ‥。う、うん」
「でも、それでなくてもシャーリーは通信主任との兼務で、執務官補佐として私のサポートに就く時間を取り難くなっているのに‥」
「ええっ!?」
「その上、更に『シャーリーの時間をこっちに割かせてほしい』と、私に言うのは心苦しい‥って、なのはは思ってるんだね?」
「‥フェイトちゃん、すごい‥私が思っていた事と寸分違わずだよ」
 なのはが目を丸くして、私を見つめている。

 普段は、私がなのはをほれぼれと見つめる事の方が多いから、ちょっと嬉しい♪
 でも、余りなのはに見つめ続けられると、すでにあちこちで漏水の始まっている、私の心の中の理性という名の堤防が決壊しかねないので、名残惜しく思いつつも話を先に進める。

「シャ、シャーリーを一時的に専任させるのは、本人さえよければ私は構わないよ。もともと、六課への出向は補佐官としてじゃなく通信主任兼デバイス制作・整備主任としてだからね」
「わ、フェイトちゃん、ありがと♪」
「それより通信主任の任務の方は大丈夫なの?」
「あ、そっちはシャーリー自身と兼務について話した時に確認したんだけど、平時はルキノとアルトに任せて心配ないから大丈夫だって。有事にはそもそも教導がないから、通信主任に専念できるしね」
「じゃあ、この件は問題無しという事で。で、もう一つは?」
「あの‥確証はないんだけど‥そのね」
 なのはが何となく話しにくそうなので、私はちょっと慌てて言い募る。
「あ、私じゃ役に立てないのかもしれないけど‥」

「ううん、聞いて欲しいよ。そして、フェイトちゃんのアドバイスが貰えれば嬉しいな」

 なのはは懇願するような表情で私をひたと見つめ、ほんの少し甘えを含んだ声を発した。

 ‥ノックアウト。

 ‥すみません。なのはを組み伏せたいです。
 生まれたままの姿のなのはを抱きしめて、
 つまり、その前の段階として、なのはの服を引っぺがすという神聖な儀式を遂行せざるを得ないという‥。
 耳元で愛の言葉を囁いて、
 全身にキスの雨を降らせて、
 ‥そして、その先の‥。

 誰か許可を‥私が理性を失う前に許可を下さいっ。
 そんな許可を求める事自体が、すでに理性を失っているんじゃないかと言われればその通りなのだけど‥。
 それにしても‥私がそんな不埒な考えを持ってしまうのは、
 決して私の理性や品性に問題があるわけでなく、
 なのはが可愛すぎるせいだと思いますっ。
 
 本人にもどこにそんな余剰の理性が残っていたのか不思議だけど、私は辛うじて、その場でなのはに襲い掛かるのだけは思い止まる事が出来た。
「わ、私でよければ‥」
「ありがとう。‥えっと、ティアナなんだけどね‥」
「ティアナ?」
 ティアナか‥なのはの心配の対象がスバルじゃなくてよかった。
 なのはが、なのはに横恋慕(私視点)しているスバルの心配をしているのなら、
 私は、なのはに横恋慕しているスバル(私視点だって事は分かってますって!)の心配をしているなのはの心配をしなければならない。
 心配が憐憫、憐憫が同情、同情が共感、共感が好意、好意が一夜の過ち‥と言う路線がありえないとも限らないでしょっ!
 特になのはは自分の部下への庇護欲(徹底的に打ちのめすのも庇護欲の発現の一変種だしね)が常識外れに旺盛だから‥気をつけないと。

「フェイトちゃんには、ティアナってどんな風に見える?」
 なのはが真剣な眼差しで問いかけてきた。だから、私も慌てて余計な妄想を中断し、ティアナの訓練の様子を思い出そうとした。
 どちらかと言えばクロスレンジが得意な私は、ミドルレンジを専門とするティアナを直接指導する機会は少なかった。それに、そもそもティアナの分隊の隊長は史上最強の砲撃魔導士だから、シューティングに関して私が口を出す機会は殆どない。(もっともなのはからは、もう少ししたらクロスレンジでの格闘戦を教えて欲しいと頼まれている。確かに単独行動の多い執務官を志望しているティアナにとって、近接戦闘は必須のスキルだ)
 それでも、なのはの問いに答えるためにティアナに関する記憶を掘り起こしてみる。すると接触の少なかった私でも少し気になった事があった。それが何なのか、心の中で整理しつつなのはに言葉を返す。

「ティアナの事情を聞いているせいかもしれないけど‥」
「うん」
「つっぱっている‥焦っている‥ちょっと違うね。ちょうどいい表現が難しいよ。強いて言うなら‥追われている‥かな?」
「追われている‥?」
「うん。自分が思い描く理想の自分に」
「追っかけているのではなく?」
「追っかけているのなら、心配はないと思うよ。主体的に理想を追う事はいい事だよ。でも自分の掲げた理想が強迫観念になっていたら‥」
 そこまで話してなのはに目をやると、なのはは顎に指を当て俯き加減になって考え込んでいる‥と、思うまもなく凄い勢いで顔を上げた。
「そっか‥なるほど。‥フェイトちゃん、すごいっ!」
 なのはがまたもや賛嘆の眼差しで真正面から私を見つめながら、歓声混じりの声をあげる。
「そ、そんな‥当たっているかどうかも解らないし‥」
「ううん。きっと間違いないよ。色々思い当たる事があるもん。やっぱりフェイトちゃんは凄いよ」
 私は慌てて顔を逸らし、言い訳ともつかない由無し事をぼそぼそと呟く。
「えーと、その、じ、自分が昔似た様な境遇だったから‥」
「?」
「『プレシア母さんに好きでいて貰える自分』という幻影に追われて、回りが目に入らなくなって‥なのはにも迷惑を‥」

 ふわりと何か、やわらかくて暖かい感触と優しい香りが私を包んだ。なのはが私の肩に手を回し、私を抱き寄せてくれていたのだ‥って、だ、抱き寄せられてるっ! なのはに! 私は!
「あ、あの‥にゃ、にゃの、なのは?」
「でも、フェイトちゃんはその状態から自分で抜け出して、私の友達になってくれたんだよね。‥ありがとう」
「でも、その、あれはなのはやアルフやリンディ母さんが助けてくれたからで‥その、私は‥」
 なのはの抱擁に慌てた私が言い訳じみた訳の解らない述懐を続けると、なのはの腕に力が込められ、私はなのはにいっそう強く抱き寄せられた‥なのはっ! 胸っ! 胸っ! 胸が私の二の腕に当たってるっ!
「そうじゃないよ。私に出来たのは待っている事だけだったんだもの。フェイトちゃんは自分の力で立ち直ったんだよ」
「なのは‥」
 なのはは私の肩をしっかりと抱いたまま、遠い彼方に‥恐らく懐かしい思い出となった日々に視線を据えて、呟いた。

「フェイトちゃんが私に会いたいって言ってくれて、友達になってくれて‥嬉しかったなあ」

 私はと胸を突かれて、なのはを見つめる。私の視線に気がついたなのはが、楽しげに見つめ返してくれる。優しい微笑みに無限の信頼と溢れんばかりの(たぶん)友情を込めて。

 ごめん、なのは‥もうダメっ!
私の理性は淹れ立ての紅茶に放り込んだ角砂糖よりも呆気なく砕け散った。

 私はなのはの愛らしい唇を奪うべく、なのはの顔との距離をじりじりと詰める。
 しかし『後二センチ詰めたら一気にっ』と思った次の瞬間、なのはが突然立ち上がってしまったので、中腰になっていた私は、その場で踏鞴を踏んでしまった。
 なのはは私の胡乱な行動に気がつく事もなく、嬉しそうな声を上げた。
「あ、そうだっ! ティアナにもスバルという親友がいるよね! 私にフェイトちゃんがいてくれるように‥」
 直ちに体勢を立て直して捲土重来を計ろうとした私の勢いを、なのはの言葉があっさりと打ち砕く。(不本意ながら)正気を取り戻した私は落胆の想いと自戒の念を込めて頷く。
「う、うん、親友‥親友だよね。そうか、親友‥ね」

 なのはがまたちょっと考え込むような表情で呟く。
「スバルに頼んで、ティアナの様子を窺ってもらうかなぁ‥」
「え?」
「スバルならパートナーだし、同室だし‥ティアナと仲もいいから」
「そ、それはまだ‥ティアナの状態についての判断は、まだ私たちの推測に過ぎないよ。親友とはいえ、本人以外に話すのはちょっと‥」
「あ‥うん‥」
「それにスバルは腹芸が出来るタイプじゃないし」
「‥確かに。スバルはティアナに気付かれて問い詰められたら、呆気なく自白しちゃいそうだね。もともと素直なこともあるけど、惚れた弱み‥って言うのかな?」
「えっ!?」
「スバルはティアナにぞっこんだからねー」
「あ、あの‥スバルはなのはの事が好きなんじゃ‥」
 私は驚いてなのはに問いかけると、なのはは笑いながら答えてくれた。
「ああ、それはただの憧れ」
「憧れ‥なの?」
「うん。スバルは私を目標にしているでしょ。本当はもっと上を目指して欲しいけど、取り敢えず、今のところは。だから憧れをベースにした親愛の情を抱いているだけで、スバルが本当に好きなのはティアナだよ」
「そうなんだ‥」
 なのはがちょっと勝ち誇った調子で、微かに意地悪さを含ませた笑顔を私に向ける。
「フェイトちゃん、そっちの方面には案外鈍いよね。スバルを見てれば解るじゃない」

 あのねっ! 余人はともかく、
 なのはにだけは『ニブイ』なんて言われたくないよっ!


 つーかね、なのは。その洞察力をどうして自分に向けられる好意に使おうとしないのかな。お願いだから察してよ‥その‥私の気持ちとかを。
 まあ、私も『惚れた弱み』を持つ身なので、なのはのからかいに抗うことは出来ない。(それどころか、なのはにからかわれて喜んでいる自分がいるのが口惜しいというか、情けないというか‥。まあ、スバルを警戒しなくてよくなったのは、ちょっと嬉しいけど)だから話をティアナの様子まで戻す事にした。

「そ、そうだ。来週、オークションの警備が予定されているでしょう?」
「うん。それが?」
「私たちも副隊長も会場内の警備担当で外回りは新人メンバーに任すから、ティアナが初めて単独でリーダーを務めることになるよね」
「ああ。それでティアナが‥」
「うん。ティアナがその経験で自信を持ってくれれば『それでよし』だよ」
「でも、ダメだったら‥」
「今度こそティアナの状態にはっきりした変化が起きるだろうから、ティアナが抱えている蟠りが把握できると思うよ」
「なるほど‥でも、荒療治だね」
「う‥ん‥。なのは、反対?」
 なのはは両手を拳に握り虚空を睨みすえ、暫く考えた後に力強く答えた。

「いやっ! 『獅子はその子を千尋の谷に突き落として鍛える』っていうもんね。この位の試練を乗り越えられないのでは、この先フォワードのリーダーとして、ひいては執務官として大成する事などっ!」

 うわ‥。メンタル面でも、徹底的に打ちのめしてしまう可能性のある方法を、敢えて選択して突っ走りますか、なのはさん。
「ありがとう、フェイトちゃん。どう行動すべきかがはっきりしたよ。うん、もう迷わないっ!」
 ま、迷わないのか。だよね‥それでこそ、なのはだよ。ちょっと‥怖いけど。
「で、フェイトちゃん?」
 なのはがちょっと気遣わしげな表情を私に向けた。
「?」
「ごめんね。フェイトちゃんに先に悩みを聞いて貰っちゃったので、聞くのが遅くなったけど‥」
「??」

「えーと、フェイトちゃんの悩みは何かな?」

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